(仮)

アイドルマスターの小説を書くかも ※ただし、ブログに飽きるまで

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ナミダのウタ

アイマス1時間SS参加作品
使用お題:涙


「萩原雪歩。 今日は貴女にお願いがあって参ったのですが……」
 今日の予定も終わって、あとは家に帰るだけのときでした。
 いつも帰り道に使っている公園にあの961プロの四条貴音さんがいたんです!
 私は四条さんを見た途端、条件反射で5,6歩くらい後ずさってしまいました。
 あ、もちろん貴音さんが怖いとかそういうのじゃないですからね!?
 ただ、暗いところで貴音さんのオーラはすごいビックリするっていうか……話を続けますね。
 いつもは物静かで立ってるだけでも迫力のすごい四条さんがいつになく焦ってるみたいで、私は思わずテンパってしまいました。
「あ、あの私なんかに何か出来るんでしゅか」
 ……うう、思い出すだけでも穴を掘って埋まりたいです。
 ともかく、私は四条さんが助けを求めてるなら助けたいと思っていました。
 四条さんの次の言葉を聞くまでは。
「実は、仕事にて『ぽえむ』なるものを書くように言われたのですが、私はそのような経験がなく……困っていたところでプロデューサー殿から雪歩を頼ればいいと言われ……」
 私は一瞬、四条さんが何を言っているのか理解できませんでした。
 確かに、プロデューサーには私がポエムを書いてるのは言ってましたけど、四条さんにまで知られるなんて。
「あ、あの私、あのですねっ!」
「突然かつ不躾な申し出なのは重々承知しております。 ですが、他に頼れる者がいないのです」
 四条さんは目に涙を湛えてて、私にはそれを振り払うなんてとても出来なくて……。
「分かりました……協力します」
「それは真ですか! ありがとうございます!」
 そう言って、四条さんは私を思いっきり抱きしめました。
 四条さんに抱きしめられていた時間を私は一生忘れません。
「そ、それで、締め切りはいつですか!?」
「それが……明日なのです」
 私はまた、時間が止まったように感じました。


 外で話し続けるのも身体に悪いし、お父さんに怒られちゃうので私は思い切って四条さんを家に招待しました。
 四条さんが私なんかの家に来てくるなんて思ってもいなかったのでどきどきしていたのは内緒です。
「本当に申し訳ありません、無理を聞いてもらった上に湯浴みまでさせていただいて……」
「気にしないでください。 それより、私の方こそ力になれなくて……」
 いつもポエムを書くときはふっと何かが降りてきてくれるのに、あの日に限ってはまったく降りてきてくれませんでした。
 今思えば、あの時はいつもと違ってプレッシャーを感じていたからかもしれません。
「良いのです。 その心だけで私はとても救われました」
 そう言って四条さんは頭を下げてくれました。
 私は申し訳なさと不甲斐なさで一杯になりました。
 いつもは流れるように書けるのに、何で今日に限って。
 そう思うと、涙が溢れてきました。
「萩原雪歩、何を泣いているのですか?」
 私が急に泣き出したことに驚きながら、四条さんは手で私の涙を拭ってくれました。
 そんな優しさが嬉しくて、応えられない自分が悔しくて、余計に涙が出てきました。
 きっと、今まで以上にひどい顔をしてたと思います。
「だ、だって、四条さん、がせっかく来て、お願いしてくれた、のに……!」
「……私は果報者ですね。 このように一生懸命になってくれる者に恵まれているのですから」
 四条さんはそう言って、私を優しく抱きしめてくれました。
 さっきまでお風呂に入っていた熱が残っていて、それがとても心地よくて、私は言葉が出ませんでした。
「そんなに気に病まないでください。 私はただ、貴女に会いたかっただけなのですから」
「えっ……」
「最初は弱く、取るに足らない存在だと思っていました。 ですが、この数カ月でそうではないと分かりました」
 まるで子供をあやすお母さんのように私の頭を撫でながら、言葉を続けました。
「貴女は私なんかよりずっと強く、本来なら手を貸すべきではない私のことで泣いてくれました。 その姿に私は本当に救われたのです」
「しじょ、さん……」
「私は貴女と出会えて本当によかった」
 その日、四条さんは私が泣きやむまで付き添ってくれて、一緒に寝ました。
 私はきっと、この日を一生忘れないと思います。


 結局、ポエムは黒井社長が手配していたライターが書いたそうです。
 あの日のことは私にとって恥ずかしくて、誇らしい日になりました。
 だから――
「プロデューサー! ポエムのレッスンはありませんか!?」
「いや、そのりくつはおかしい」

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  1. 2011/08/26(金) 23:37:23|
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